頑張れ金木犀

1997年、私は東北より神奈川県に移り住んだ。何も決めずに出来た私でしたが、ある園芸店での就職が決まり、園芸にはまって行ったわけです。

そんな私が神奈川の生活を初めて間もなく衝撃的な香りと出会うのです。それは神奈川で暮らす人であれば、ごく当たり前の香りなのです。

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今現在、当店の外売り場でも満開を迎えている金木犀(キンモクセイ)です。この季節の1週間、グリーンファームはこの金木犀の香りに包まれます。

18年前の私はこの金木犀の香りに衝撃を受けるのです。

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先にも述べたように私は東北育ちです。こちらの人にとっては実に意外な話かもしれませんが、金木犀は関東から南でなければ育たない樹木です。県や市町村の木として金木犀を上げている場所も

やはり関東より下にしかありません。この様な理由から私は金木犀を知りませんでした。いや正確に言えばこの香りは知っていたと言うべきかもしれません。

金木犀が自生する地方では元々、この強い香りを持つ樹木をトイレの側に植える傾向がありました。これはまだ日本が水洗トイレではなかった頃、そのトイレの匂いを一時でも良い香りに変えたいという傾向があった様です。

これにヒントを得た芳香剤を手がける会社が金木犀の香りで芳香剤を販売すると大ヒットとなりました。そうなると各メーカーはこぞって金木犀の香りで芳香剤の販売を始めます。いつしか日本中のトイレは金木犀の香りで包まれる様になりました(言い過ぎかも知れませんが)。

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そうなのです、金木犀の無い土地で育った私は金木犀は知らなくとも、トイレの香りと姿を変えた金木犀の香りは知っていたのです。

神奈川に移り住んだ私にも初めての秋がやってきました。そこで香って来たのが初めて嗅ぐ自然界の金木犀でした。

私は驚きました。行く所、行く所でトイレの香りが漂って来る。初めは何なのか分からず、とにかく神奈川ではトイレの芳香剤を好んで使うらしいぐらいに思っていたものでした(笑)。

そんな、トイレのイメージがすっかり付いてしまった金木犀ですが現在ではトイレの芳香剤で金木犀の香りを発売しているのは一社だけとなっている様です。

理由はあまりにもトイレのイメージが定着しすぎて、「トイレの匂いだから」っと若い世代を中心に売れなくなったのが理由の様です。確かに現在ではトイレに入り金木犀の香りを感じることはなくなっていると思います。昭和の後半では金木犀の苗木自体の販売も下降気味だったと聞きますが、芳香剤の撤退後苗木の販売も回復傾向だとか。いずれにしろトイレの臭いとイメージづけられた金木犀にとってはいい迷惑だったことだろう。

 

ブラックドッグ・セレナーデ

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