新・近所探検物語Ⅰ
去年1月にブログで綴った「近所探検物語」がある。
横浜に移り住みあまり徒歩で自宅付近を歩く事がなかったので、どんなものかと歩き、そこで出会った植物達をリポートしたものです。今回も続編としましてお送りすることになりました。
それでは、お楽しみ下さい。
「新・近所探検物語Ⅰ」
ザー、ガチャガチャ!
キッチンから皿を洗う音が忙しく聞こえる。
私は大晦日、珍しく夜更かしをしてまだ目が開かない。眠りに就いたのは確実にAM3:30を回っていた。
キッチンで動いているのは友人のK。私が横になっているこの家は、友人Kのアパートだ。
「もう、出るかい?」
私は低いテンションで呼びかけた。
「いや、準備にもう少し時間がかかるから、もう少し寝てていいよ。」
私はその答えを聞きながら眠りに就いた。
2度目に起きた時には、友人Kの準備もすっかり終わっていた。私の準備は簡単で、ほぼ起きたままの状態でOKだった。準備にかかる時間は対照的だが、共通する点は薄着だと言う事。仮にも1月1日の早朝だ。外は寒いに決まっている。
「お前ずいぶん薄着じゃねーか?」
シューズを履きながら友人Kに問いかけた。Kは返事もせず外に出た。Kの朝はいつも不機嫌から始まる。夜型人間なのだ。
私も続いて外へ出た。
「寒い~!」私はおどけながら、Kの後に続いた。
AM7:00出発
私達は元旦に歩いて鎌倉八幡宮を目指す計画を立てていた。人から聞く話だと友人K宅(グリーンファーム金沢店付近)から歩いて2時間程と聞いた。もちろんKも歩いた事がない。
Kが思いつきで言った「八幡様まで歩いて年を越すってのもありだな。」っと言う意見を私が半ば強引に計画実行する事になったのだが、さすがに歩きながら年を越すのは辛いのではと、早朝からの出発となった。
20分程で山道への入り口が
現れた。いよいよスタートです。
「はぁ~・・・」
現れた階段を見るや、Kは大きな溜息をついた。
「最初からこれかよー、自信無くなってきた~」
私は愚痴るKを残して階段をピョンピョンと駆け上がった。
「ん!お~、すごいぞいい眺めだよ。もう少し早ければ初日の出も拝めたな~」
私は少し遅れたKを下に見ながら、景色を説明した。Kも同じ高さに並ぶとその景色を繁々と見た。
金沢八景方面が一望できた。
「あー、確かにいい景色だなー、しかし今日は曇ってるから初日の出は無理だったと思うよ。」
Kは私を皮肉りながら階段を上り始めた。
階段を上りきると、山道が見えた。なんだかテンションが上がる。
土と樹木が香る。
私は「ヒョーッ」と奇声を発して山道に飛び出した。徐々にテンションの上がってきたKも、踏み込む足に力が入っていた。
そして山道に入って間もなく、「切通し」が姿を現し私達のテンションは急上昇することになる。
続く
ブラックドッグ・セレナーデ