青と緑の間
「兄貴~、もう着いでるのが~」
まだ布団の中の私は携帯を手探りで見つけ、ごそごそと耳にあてて福島弁を聞いていた。あまりに眠いので、携帯電話を一度耳から話し、ディスプレーの時計を見た。
まだ午前6時前だった。
「もー着いてるよ。昨日の夜中に着いた。」私はごにょごにょとした言葉で返事をした。
「そうか、じゃ~、明日、俺もそっちに行くよ。」そう言って電話は切れた。電話の相手は弟だった。私は横浜から福島の実家に帰省していた。弟は実家から40分程のところで暮らしている。自営をしていて大変らしい。私が帰省すると10分間でも顔をだす。そのまま、また仕事へ出かけてしまう事の方が多い。今回は、早めに日にちを告げていたせいか、1日だけ休みを取ったそうだ。
私はそのまま布団から抜け出して、愛犬の散歩に行く事にした。
前にブログで紹介している
柴犬です。
私のブラックドッグの由来にもなってます。
散歩に出るとすぐ田んぼが広がる。
どこまでも
広がる緑が、風を受けて
波打つ。
綺麗だと思った
心からそう思った
福島が抱える問題が毎日の様にテレビで流れる。このイネもその問題の中にある。美しさは変わらないけれど。その問題の犠牲になるかもしれないのだと思うとやるせない。
私のジーちゃんも農家だ。今は亡くなってしまった。私が横浜に出る時に他界した。ジーちゃんは最後まで田んぼを心配していた。どこかへ旅行に行きたいと言った事もないジーちゃんだったが、入院先で「田んぼどうなってる?(俺が)行かなくても平気か?」
と話したジーちゃんを思い出していた。
福島から離れて暮らしている私がナーバスになってみたりするのだが、実家の人間は、まーったく気にしていない風。
昨日の夜、実家に着いてすぐ心配した私に対して、
「気にしてだら、生きていげないよ~」っと母は笑って言った。
確かにそうである。
私は横道にそれた意識を、現実の散歩道に戻した。ムクゲが咲いている。めずらしいムクゲだ。青い八重咲きのムクゲである。
ムクゲは白やピンク系が
多く出回っている。
ムクゲの青になぜか胸がスーとする気がした。
ブラックドッグ・セレナーデ