新・近所散歩物語Ⅲ
猫との堅い挨拶をしながら地図の確認を終え、私達は先を急ぐことにする。
山道を歩いて進むのだから、きっと熱くなるだろうと二人とも薄着で出たのだが、やはり1月・・・・
外気温は思った以上に冷たく、少し休むと「ぶるぶる」と体が震えた。
「ウォー、寒い、寒いっ!」
私はまたKの前に立ち、小走りで八幡宮方面への道へと戻った。
幾つもの大木に出会う
山道はまた幾つもの切通しを私達に見せ、幾つもの大木を紹介してくれた。クスの木やクヌギ、モチノキ。
「あ~、聞こえるよ、そうかそうか、そうだよなー。」
大分調子の出てきたKが木と会話をしてふざけて見せた。
鎌倉市に入る。
またしばらく進むと下り坂になり、鎌倉市と書かれたパイロンが無雑作に置かれていた。
横浜市から鎌倉市へと入った。
「ウワ~っ!」
先頭を行く私は驚きの声を上げた。
「これすごいよ、そうか下が岩盤だからだ・・・しかしすごいな~」
私は一人、納得してその木を眺めた。
まさに根こそぎ!!
「うわー、本当だ、こりゃ、すごいな・・・」
Kも一人、納得していた。
「この辺の土地は岩盤だから根が上手く張れなかったんだなー。」
私は誰に説明する訳でもなく、自分なりにこの杉に起こった状況を推理し始めた。
「しかし運よく、他の木々に囲まれ、大きな風を受ける事なくこの杉は何十年も倒れる事がなかったんだ。」
私は杉の根の部分に近づきながら話を続けた。Kも私の左を歩いて根を見ている。
「そして・・・去年の台風がきっと、その壁を破ったんだな。」
倒れている杉の根は全くその地に張れていない。本来であれば四方に伸びるであろう太い根が見当たらない。おそらく斜面の柔らかい部分にだけ、張っているのではないかと想像できる。
私達はその杉の先端を見ながら進行方向へと歩いた。先端の葉は青々としている。
「生きてる」
私は杉の生命力に何か感じながら、またKの前に立ち先を急いだ。
切通しの所々に現れる
穴。
昔の人はここで野宿や
雨宿りをしたのだろうか。
Kのアパートを出てから1時間30分。景色が変わり始めた。
民家が近くなる
切通しの姿も無くなり、山道は細い下り坂になった。終わりが近い。
私達は肌でその感覚を感じていた。
「もうすぐ終わりだね。」
私は急な下り坂に足を取られながら、Kに言った。
Kは「うーん」とだけ返事をして、やはり足元を注意していた。
アスファルトが現れた。
「到着!」
途中、先頭を変わったKが両手を挙げて声を出した。続いて私も同じように声を出して、アスファルトを踏んだ。
二人は思いつきで実行したこの企画が、思った以上に楽しかった事を話しながら八幡宮へと向かった。
山を降りてすぐ、鎌倉宮があった。
鎌倉宮を過ぎて10分程で鎌倉八幡宮に到着する。
到着!
2012年AM9:00八幡宮に到着。
出発から2時間で目的地へ。
当初、参拝は混雑を予想して行わないつもりでしたが、これがビックリ。
あまりにも空いていたので、並ばずに参拝できてしまいました。
朝6:00から10時頃までは穴場時間だそうです。
今年は良いことあるかもしれません。
今回もまた長い時間お付き合いいただき、ありがとうございました。
また自然と触れ合う散歩ができた時、ご紹介いたします。
八幡宮の後、建長寺に寄る。
有名なビャクシンの大木は、
感動です。
ブラックドッグ・セレナーデ