ドラゴン・インパクト
「今年は何やろーか?」
毎年、暮れが近づくとスタッフTと私の間で交わされる会話の始まりだ。
正月売場にインパクトをつけるため、4年前から巨大な物を作成していた。
「はー、どうせまた、無理な注文するんだろっ!」
スタッフTはあきらめた表情で返事をしていた。
「お前、何だよ嬉しくねーのか、すごい物作って売場を楽しく出来るんだぞ、お客さんビックリさせようよ。」
私は目をキラキラさせながらスタッフTに賛同をうながした。
「だから、作るのは俺だろ~、毎回、あんたの注文は無謀なんだよっ!」
少し怒った・・・・
「では今回のプロジェクトを発表する!」
私は怒るスタッフTを押し切って計画を話した。
「巨大な龍を作る事にします。以上!!」
その日から巨大な龍の製作は始まった。
私が資材担当になり、
初めて作製したのは「宝船」でした。
その次の年は「凧」でした。
「凧」は毎年恒例化となり、今年も
飾られる予定です。
龍の作製は
始めダンボールを組んで大体の大きさ、形を決めた。
これが龍になるのです。
信じられますか?
この時点でスタッフTには完成した龍の姿が見えていたと言う。売場で形が出来た後は倉庫の方に場所を移し、本格的な製作が始まる。
「おいっ!本当に作るのかよっ!これ結構時間かかるぜ!」
この後におよんでスタッフTはやりたくないオーラを出している。
「Tよ、おめーならやれるよ、きっとやれる安心しろ」
私は勝手なエールを送り彼を倉庫に閉じ込めた。
帯状に切ったダンボールを細かく
巻きつけて、龍の曲線を作って行く
作業は思ったよりスムーズに進んだ。嫌がっていたスタッフTも、元々物作りが好きな性分なのですぐに没頭していた。
3年目に作製したのは獅子舞でした。
現在作成中の龍の基礎となる作品です。
作業開始から数日経つと最初の壁に当たった。形が龍に近づくにつれ、当初口を閉じたタイプで計画していたが、口を開けた方が迫力が出るのでは、と言う事になり急遽、口開けタイプに造形を変える事になった。時間の大きなロスが心配だった。
口開けタイプへの作業も無事終了。
見た目も完全に龍と分かる程になってきた。
この頃になると繰り返される補修と口開けにかかった時間が大きくのしかかって、今後の製作時間を圧迫していた。
しかし手を抜くわけにはいかない顔の部分になると、作業のピッチは必然的に落ちる事になる。
時間が無い。
スタッフTは「無理かも・・・」と少し諦めぎみになった。
「大丈夫だ、おめーさんならやれるよ!」と相変わらず無責任なエールを送り続ける私も、少しあせっていた。
顔の位置を決める。
本線では無いので少し笑える顔になっている。
ここから肉付けに入る。
スタッフTの爆発的な集中力で作業は行われた。速い・・・・そして「すごいっ!」
顔の肉付けも終わり、
ウロコ貼りに移る。
ウロコの作製は最終まで悩んだ。塗装でウロコを描くか、一枚一枚ウロコを作り貼るかと言う判断だ。結局、スタッフTは
「ここまでやったんだ、ウロコ作って貼るよっ!」と難関を選択し作業に移った。
一枚一枚ウロコ貼る
スタッフT
ここまで来れば後は和紙を表面に貼り、塗装して終わりになる。現在も作業は続いておりますが、予定通りお正月売場に登場予定です。
どんな姿で売場に登場するか、
ぜひ本店、お正月売場でご確認下さい。
龍の展示は12月9日頃の予定です。
今年の干支「龍」と一緒に記念撮影もいかがでしょうか。龍との撮影は自由となります。
ブラックドッグ・セレナーデ