たいふーんダイジェスト
「じゃー、帰りますね」
私はまだ仕事をしているスタッフに挨拶をして事務所を出た。
20日 PM8:00
事務所から階段を下りて出口に向かうと、まだスタッフSが庭木やら花苗を台車に積んでいた。
「どうした?まだ仕事終わらないのか?」私はSに声をかけた。
「う~ん、明日、台風だからな~、あるていど倉庫に移しておかないと・・・でももう終わるよ」
夜はもうだいぶ涼しくなってきた頃だが、Sの顔は汗で濡れていた。
「ふ~ん、明日、風は吹かないんじゃない、テレビでもそんなに騒いでなかったし」
私は少し前に休憩室でみたニュースを思い出して言った。雨の強い台風とは言っていたが、それほど暴風への警戒を強調はしていなかった。
「そうなんだよね~、いつも準備しても結局、大した事なく終わるんだよね」
Sは苦笑いしながら作業を続けた。
「じゃ~、帰るね」私は軽く手を上げて挨拶をし、その場を後にした。
21日 AM7:00
朝は曇っていたものの台風が来る雰囲気はなかった。
グリーンファーム開店時間もまだ天気が荒れる様子はない。
「本当に来るのか、台風」
スタッフの間でもそんな話がされていた。
10時を過ぎた頃、突然、前触れも無く激しい雨が降り始めた。台風が試合開始のゴングを鳴らしたようだった。
22日の朝の売場
庭木は倒れ、販促用の什器も
倒れてしまった。
雨は激しさを加速させ、風が温室を揺らし始めた。
「あれ、意外とすごいかも?」
私達は濡れてはいけない物をしまったり、飛ばされないように物をしばったりと作業に追われていた。
不謹慎だが、テンションが上がる。普段、雨に濡れるのを極端に嫌がる私も気にする事なく雨と闘っている。
21日 PM5:00
風はピークを迎えていた。
22日朝の売場
スタッフが頑丈にくくりつけた
バラアーチもなぎ倒されてしまった。
「お~い、庭木コーナーのサルスベリが倒れたぞ~」
スタッフが叫んでいた。
「この風なら倒れるよ」私はサルスベリの苗が倒れているのを想像して言った。
「そうじゃ無いよ、庭木コーナーのシンボルツリーが倒れたのっ!」
スタッフが呆れながら言い直した。
私は慌てて庭木コーナーへ走った。慌てて走ってもどうする事もできないのは見てすぐに理解できた。
完全に横になってしまった
サルスベリの大木
グリーンファームのその事件を最後に風は終息を向かえた。
22日朝 快晴
倒れたサルスベリは造園部の手際のよい作業で補強された。サルスベリは快適そうに立っている。
クレーンでサルスベリを起す。
作業は1時間程で完了した。さすがです。
頑丈に補強
サルスベリも安心しているみたい
サルスベリは来年も綺麗な花を咲かせる事だと思います。自然のさまざまな強い力を感じた2日間でした。
ブラックドッグ・セレナーデ