バンブー・レイン

雨の音で目が覚めた。

幼い頃に車で1時間30分離れた(現在は道路も良くなり1時間かからずに行けます)祖父母の家に、2~3ヵ月に一度、家族で泊まりに行っていた。福島県の二本松市(当時は安達郡)、今でも自然の多い場所です(笑)。私達が寝る部屋は2階で、ちょうどその高さに竹林がありました。窓を開けると竹林が目の前にあり、風が貫けると「サラサラ」と心地よい音が聞こえました。その部屋で体験したのが冒頭の不思議な雨の音でした。

まだ薄暗い早朝に、雨の音で目が覚めた。その日は外で従妹と遊ぶ予定だった。「ちぇっ、雨か・・・」そう思いながら、窓を開けた。

雨は降ってなかった。空は薄暗かったが晴れていたいるのが分かった・・・でも雨の音は聞こえた。「何だろう?」子供の私の疑問はそれ以上の追求を望まず終わってしまった。

 

 それから何年も経ち、その事はもちろん、すっかり忘れていました。

しかし、あるテレビの番組で竹の成長を取り上げていたのを見たのです。竹の成長は驚異なるスピードで、1日で約120cmも伸びるそうです。約3ヶ月で成熟し、20m程の高さになるのだと説明していました。そして竹は、成長するため自分の身体に取り込めないほど、多くの水を吸い上げるのだそうです。その余分な水が竹の節から噴出す仕組みになっていると言うのです。「んっ!」私は遠い記憶の雨で目覚めた日の事を、すぐに思い出しました。「あれは竹が降らしていた水の音だったのかな?」

その後、その事が本当に「竹の雨」だったのか確認はしていないのですが、なんだかこのロマンチックな体験に「バンブー・レイン」と題づけて、友達に話し楽しんでいます。現在ではこの竹の水を「竹水」と呼び、化粧品などで使われているそうです。竹はこの驚異の成長力や人間のさまざまな生活の加工品にされる事から、縁起の良い、ありがたい植物として扱われてきました。現在当店のお正月でも花器に使われたりしています。

正月には欠かせない門松も竹が主役です。

来年は竹の成長にあやかりたいブラックドッグです(子供ですいません!)。

ブラックドッグ・セレナーデ

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