ある害虫の1日

寒くなって虫たちの姿もだいぶ見なくなりました。最近、良く見かけるのがお腹の大きなカマキリ(メス)です。卵を産む場所を探して、当店をウロウロしています。

カマキリは園芸界では益虫扱いになるので、誰も捕殺しようとはしません。怖がるスタッフがいても殺したりはしません。ビクビクしながらも卵の産めそうな場所に逃がします。こんな光景を見ていると、無農薬でリンゴ栽培を実現した木村秋則氏の「奇跡のリンゴ」を思い出します。この書籍の中盤あたり(たぶん)で木村さんが言う「害虫だと言われる虫は皆、かわいい顔をしているのな。」って。確かにそうだとすぐに感銘しました。イモムシやアブラムシ、アザミウマ、ケムシなど確かにかわいい顔をしています。逆に益虫と言われている。カマキリやハチ、ヤゴ(とんぼの幼虫)、クモは、人間基準ですが恐ろしい顔をしています。人間のエゴが生んだ「良い」「悪い」その基準で捕殺される虫、逃がされる虫。木村さんは「本当は悪い虫も良い虫もいない」と言う。自然の摂理に従って産まれて、植物を食べる虫、その虫を食べる虫、そしてその虫を食べる動物、その動物が落としたフンを栄養として生きる植物。皆、自然に暮らしているはずのもの。

木村さんの無農薬で行った方法は、これらの自然の摂理を戻してやる事でした。木村さんはただそれを見守っていただけだそうです(見守る事が、本当に難しい事なのは本を読んで頂ければわかります)。この法則で行くと人間も地球基準で害虫なのかも知れません、本当は熊やライオンなどに大人しく食べられる運命だったのかもしれません。しかし私達はそうならない手段を手に入れて生きています。だから、私(害虫)は今日も腹筋をして1日を終える。いつか来る地球の益虫と闘うために。

ブラックドッグ・セレナーデ

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